QRコードを印刷物に使うときの注意 サイズと余白
画面では読めた QR コードが印刷すると読めない原因は、サイズ、余白、色、情報量の4つにほぼ絞られます。最小サイズの目安、誤り訂正レベルの選び方、クワイエットゾーン、短縮 URL の寿命など、チラシや名刺に載せる前に確認する点を説明します。
印刷で読めなくなる原因
画面では読めた QR コードが、チラシや名刺に印刷すると読めない、という相談は珍しくありません。原因はほぼ決まっていて、小さすぎる、余白が足りない、濃淡の差が足りない、情報を詰めすぎてマス目が細かすぎる、の4つです。QR コードの仕様(JIS X 0510 / ISO/IEC 18004)はこれらの条件を定めており、仕様に沿って作れば、読み取り側のアプリに依存せず安定して読めます。
なお、「QRコード」はデンソーウェーブの登録商標です。規格に沿った利用については特許権を行使しないと公表されており、印刷物に使うことに許諾は要りません。
サイズ
QR コードは、1マス(モジュール)が読み取りカメラで識別できる大きさである必要があります。名刺に載せる 1.5cm 角のコードでも、短い URL なら十分読めますが、長い URL を同じ大きさに押し込むとマス目が細かくなり、印刷のにじみで隣のマスとつながってしまいます。
一般的な目安は、1マスを 0.4mm 前後以上にすることです。モジュール数が 25×25(バージョン2)なら一辺 1cm、33×33(バージョン4)なら一辺 1.3cm が下限で、実用上は余裕を見て一辺 2cm 以上にすると多くの環境で読めます。ポスターのように離れて読む場合は、読み取り距離の 10 分の1 程度の一辺が必要とされています。1m 離れて読ませるなら 10cm です。
情報量を減らす
マス目を細かくしない一番の方法は、入れる文字を減らすことです。URL なら、長いアドレスより短いパスの方がバージョン(マス目の数)が小さくなります。ページの URL が長い場合は、サイト内に短い転送用の URL を用意し、.htaccess の 301 でページに飛ばす方法が確実です。URL にパラメータや日本語を含める場合は、URLエンコード・デコードでエンコードした形にしてから入れないと、読み取りアプリによって解釈が変わることがあります。
英大文字と数字だけの文字列は「英数字モード」で小さくなる、という仕様がありますが、URL のパスは大文字と小文字を区別するため、無理に大文字にしないでください。
誤り訂正レベル
QR コードには、一部が汚れたり欠けたりしても復元できる誤り訂正の仕組みがあり、L(7%)、M(15%)、Q(25%)、H(30%)の4段階です。印刷物は折れ、汚れ、擦れが避けられないため、M か Q を選びます。中央にロゴを重ねる場合は H にし、ロゴで隠す面積を全体の2割以下に抑えます。
レベルを上げるとマス目が増えて細かくなるため、サイズとの兼ね合いになります。小さく印刷せざるを得ないなら M、大きく刷れるなら Q、というのが実用的な選び方です。
余白と色
QR コードの周囲には、4マス分以上の白い余白(クワイエットゾーン)が必要です。読み取りアプリはこの余白でコードの範囲を判断するため、デザインの都合で余白を削ったり、枠線や文字を接するように置いたりすると、読み取れなくなります。
色は「濃い色のマスを薄い地に」が原則です。白黒反転(白いマスを黒い地に)は対応していないアプリがあります。濃い青や濃い緑ならおおむね読めますが、黄色や薄いグレーのマスは読めません。地紋や写真の上に重ねるのも避けてください。QRコード作成では余白の幅を指定でき、印刷用に SVG で保存すると、拡大しても輪郭がぼやけません。
URL の寿命
印刷物は何年も残ります。短縮 URL サービスを使うと、サービスの終了や仕様変更でリンクが切れます。Google の goo.gl は2025年8月に、長く使われていない短縮 URL の提供を終えました。印刷物には自分のドメインの URL を使い、ページを移動したときは古い URL から 301 で転送してください。QR コードそのものには有効期限がなく、ブラウザ内で作ったコードはどこにも登録されないため、「QR コードの期限」ではなく「URL の寿命」を管理する、と考えると迷いません。
印刷に回す前に、入稿データを実寸で印刷し、複数のスマートフォンで実際に読み取る確認を必ず入れてください。
確認に使えるツール
- QRコード作成: 誤り訂正レベル、余白、サイズを指定し、PNG / SVG で保存します
- URLエンコード・デコード: URL に含める日本語やパラメータを変換します
- .htaccess生成: 印刷した URL の転送(301)を生成します